bunzo5文蔵さんの梅酒を初めて飲んだ。
瞬間「旨い」と感じ言葉を失った。今まで飲んだことのない、
芳醇で、そして梅の爽やかさが口一杯に広がった
ただ、ただ逸品だった。

 

 

 

 

 

 
bunzo1この感覚的感動は何とも表現できるものではない。
自分としては生まれてこの方「梅酒」と云う酒に
初めて感動を覚えた瞬間でもあった。

今まで他社の梅酒は時々は飲んではいたが、
不思議と何の印象も残ったことがない。
元来、梅酒とは女や年寄りの飲み物だと思っていた。
昨今では、缶に入ったものまで売っている。

 

 

bunzo2また、我が家でも手作りの梅酒は作っている。
もちろん使う焼酎は「甲類」である。
無味無臭である甲類は、俗に「ホワイトリカー」として一般に馴染みが深い。
当然、我が家でも甲類焼酎を使い、そして氷砂糖を
分量通りに入れて仕込んでいたのである。
そんな梅焼酎は世の中には自家製梅酒の何年ものとして
楽しんでいる人たちがいるのも確かなことである。

 

しかし「文蔵さんの梅酒」の他との決定的な違いは、
この仕込み焼酎の違いにあった。
そう木下醸造場では「常圧蒸留の米焼酎」を使っていることである。

bunzo3つまり「甲類」という雑多な雑穀から作られる無味無臭のホワイトリカーではなく、
「乙類」という原材料が特定されている材料を使用した焼酎
・・・つまり「米」から作られる焼酎を使っていたことである。
元々、この蔵元では「文蔵」と云う旨い成分がたっぷり入った焼酎を造っているが、
その焼酎に「梅」を漬け込んで出来たものが「文蔵さんの梅酒」なのである。

米焼酎で、しかも常圧蒸留の焼酎という濃くのある焼酎に梅の成分が
滲み出て米焼酎本来の旨みの部分と梅の酸味がフレッシュさをしっかりと主張し、
そのハーモニーが呑む者の口の中でしっかりと
「文蔵さんの梅酒」を奏でているのである。
本当に旨いと思った瞬間、ふとどんな呑み方が一番旨いのかを探りたくなった。

bunzo4当然、そのままの常温で頂いても旨いのであるが、多少味がボケている気がする。
そこで小さなショットグラスにクラッシュド・アイスをぎっしり詰めて、
その中に「文蔵さんの梅酒」を垂らしてみた。
口に運ぶと焼酎の柔らかさの中に梅の酸味がフレッシュさを
主張するのがはっきりと分かった。
いやはや「旨い」の一言である。
これは食前酒として楽しむのが最高だと思った。

そして、また別の楽しみ方はソーダー割りである。
トニックで試してみたが「苦味」が残りダメだと思った。
そこでソーダで割ったみたが、割り方に工夫と云うか、順番があった。
細長いグラスに氷を入れ、そして先にソーダを注ぐ。
そして比重の軽い「文蔵さんの梅酒」を注ぐのである。
バースプーンで2ステアして呑むと、本来の旨みが炭酸の清涼感と共に梅の
持っている本質的味を演出して旨いと感じてしまった。

果たして球磨地方には珍なる「永遠なる味」があると感慨深かった。
自然のもたらす食物や果実は、元々独自の旨さを持ち合せて、
この世に生まれてくるものだと思う。
そんな、果実の天性の旨みを殺さず、自分の蔵の
本来の味である米焼酎とのマッチングを見事に表現している
「木下醸造場」は、ただすごいと思うしかなかった。

このような湿度の高い蒸した気候の日本に、
まさに天然を味わう中に清涼感を楽しむ飲み物があるとすれば、
それはすばらしい芸術と云うしかなかった。
これも生活環境と伝統文化のなせる業であろうか・・・・。
昨今、スローフードなどと云う言葉が世界中を歩いているが、
まさに「文蔵さんの梅酒」は、スローフーダーにとっても
納得いただける飲み物であるに違いない。